*バッハ トッカータとフーガ ニ短調 ストコフスキー編曲版(2012年9月23日 第30回記念定期演奏会プログラムより)

 音楽と映像とが絶妙に呼応していたディズニーの映画「ファンタジア」をご記憶でしょうか。この映画の冒頭、指揮者のレオポルド・ストコフスキーが登場し、おもむろに演奏を始めるのが、きょうお聴きいただく「トッカータとフーガ」です。トッカータというのはイタリア語の動詞トッカーレ(触れる)からできた言葉で、オルガンなどの調子を見る試し弾きという意味でした。そして16世紀中頃には、鍵盤楽器の速くて細かなパッセージを伴う即興的な楽曲として様々な作品が生まれます。フーガもやはりイタリア語で、複数の旋律を重ね合わせていく技法を主体とした楽曲形式のことです。「トッカータとフーガ ニ短調」は、前半の3分足らずがトッカータ、その後がフーガという構成です。フーガは、ヴィオラから始まります。ご注目ください。
 作曲したヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)は、いうまでもなく西洋音楽史の巨匠の一人で、1000曲以上の作品を残しています。オルガン曲は約240ほどありますが、「トッカータとフーガ ニ短調」はその中で最も有名で、とくに冒頭部分は突然訪れた悲劇を面白おかしく強調する場合(例えば「鼻から牛乳が出る」など)に引用されることも多く、この旋律を耳にされた方も多いはずです。
 一方、この曲の持つ劇的さと重厚さに魅せられ、多くの編曲が生み出されています。ピアノ版やソロヴァイオリン版もありますが、やはり、ストコフスキー編曲の管弦楽版が、原曲の持つ壮大さを表現しているのではないでしょうか。ストコフスキーは、教会のオルガニストから指揮者に転身、ピアノ曲の管弦楽版への編曲にも才能をみせました。この「トッカータとフーガ ニ短調」は、当初オーケストラの練習用に編曲されたようです。この曲を実際に演奏した経験がある方は、練習用だったということに深くご納得いただけると思います。

(ヴィオラ 藤井 しのぶ)

編成:Fl.4 (Picc.2), Ob.3, Ehr.1, Cl.3, B.Cl.1, Fg.3, Cfg.1, Hr.6, Tp.3, Tb.4, Tub.1, Timp.1, Cel.1, Hp.2, Strings

 

 


 

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ブロカートフィルハーモニー管弦楽団 http://www.brokat.jp/