*ニールセン フルート協奏曲 (2017年9月8日 第39回定期演奏会プログラムより)
 カール・ニールセン(1865−1931)は、デンマークのオーデンセから南に12kmほど離れた村ノーレ・リュンデルセに、貧しい農民の子として生まれました。デンマークの国民的作曲家であり、かつてこの国の100クローネ紙幣には、彼の肖像画が印刷されていたほどです。ニールセンは、フィンランドのシベリウスと同じ年の生まれで、シベリウスと同じように優れた交響曲を残しています。彼の六つ交響曲の中では、第4番「不滅」と第5番がとりわけ有名です。ニールセンは、デンマーク王立劇場オーケストラのヴァイオリン奏者として活動するかたわら作曲を続け、のちには王立コペンハーゲン音楽院の理事に就任し、指揮者としても活躍しました。交響曲のほかには、ヴァイオリンとフルート、クラリネットのための三つの協奏曲、管弦楽曲、「仮面舞踏会」などのオペラ、室内楽曲など多彩な作品が知られています。
 フルート協奏曲は、交響曲第6番が発表された翌年、1926年に完成されました。ニールセンは1922年にコペンハーゲン管楽五重奏団のために管楽五重奏曲を作曲して、好評を博しました。そののち、同団の団員のために協奏曲を書こうということになり、最初に完成したのがこのフルート協奏曲です。そのあと、1928年にクラリネット協奏曲を作曲しましたが、オーボエとホルンとファゴットのための協奏曲は完成に至らず、1931年にその生涯を閉じることになります。
 フルート協奏曲は、ニールセンがその15年前に作曲したヴァイオリン協奏曲と同じように、二つの楽章で構成されています。オーケストラの編成には、フルートとトランペットが含まれておらず、トロンボーンはバス1本のみとなっています。両楽章とも、フルートとオーケストラ、フルートとクラリネット、ファゴット、トロンボーン、ティンパニなどとの軽妙な掛け合いが印象的で、聴きどころでもあります。ことにバストロンボーンは第2楽章で多用されるグリッサンドが印象的です。曲は、不安感をあおる場面とそれが解消される場面や、子どものように無邪気で楽しい場面が繰り返し出てきます。そして、時おりすべてを優しく包み込んでくれるような暖かく美しい旋律に救われるような気持ちになるところもあり、その感情の豊かさやそれらを表現する自由な作風に心を奪われます。
 ソリストの甲斐雅之先生の演奏は、この曲の持っている魅力をさらに引き出し、観客の皆さまと我々オーケストラメンバーともにニールセンの世界を堪能できると思います。

(フルート 園田 弘世)

楽器編成 オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2、トロンボーン 1、ティンパニ 1、弦楽5部、独奏フルート。

 

 


 

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