*チャイコフスキー 交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」 (2024年4月14日 第48回定期演奏会プログラムより) |
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840–1893)が最後に作曲した交響曲第6番「悲愴」。自筆譜の表紙には「патетическая パテティーチェスカヤ」と書かれている。ロシア語で「情熱」「強い感情」という意味を持っている。一方、友人たちとの手紙には「Pathétique パテティーク」と書いていて、こちらはフランス語で「悲愴」「悲痛」といった意味となる。チャイコフスキーがフランス語も堪能だったことを考えると、この曲名には二つのイメージが混在していたのかもしれない。ちなみにどちらも語源は「喜怒哀楽に伴う強い感情」を表すギリシャ語の「π?θος パトス」だという。そして、作曲家自身はこの交響曲に「人生」を見ていたともいわれている。 第1楽章は鎮魂の祈りのような重々しい雰囲気で始まり、ドラマチックに展開していく。第2楽章は5拍子のワルツ。幸せで優美な中にも不安や物悲しさが漂う。第3楽章は闘争と勝利。輝かしい勝利宣言でダダダダン!と終結したら、拍手をしたくなるのが自然だろう。私はいつもコンサートで、音が出ないように、他の人にわからないように、こっそり指で拍手している。私たちも、盛大な拍手をしたくなるような、思わずブラボーと叫びたくなるような演奏ができたら、どんなにいいだろう。けれど、華々しい栄光の中で終われないのが人生ではないだろうか。深く長いため息で始まる第4楽章。鼓動は鳴り続け、感情は揺れ動く。やがて、死を啓示するかのように銅鑼が響き渡り、天上から神の声が降りてくる。心臓を打つ音が徐々にゆっくりとなっていく。 (ホルン 吉川 深雪) 編成:ピッコロ(フルート持ち替えあり)、フルート2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファ ゴット2、ホルン 4、トランペット 2、トロンボーン 3、テューバ、ティンパニ、バスドラム、 シンバル、タムタム、弦楽5部。 |
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